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Seminar B/研究会B

Introduction to Linguistics/言語学入門

Fall 2025

TBA

言語学入門 Introduction to Linguistics

■研究会の目標:この研究会「理論言語学実践」では、学期ごとに言語学の様々な枠組みに触れ、対象を分析し、理論言語学における参加者の知識と分析力を高めることを目標とする。

■選抜課題:リンク先の​課題を行い、回答を教員にメールすること(メールはオンライン・シラバ

スの連絡先情報を見てください)

■読書案内:

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■このセメスターの内容:2025年度の前期では、言語の変異と変化をテーマに活動を行う。​変異というのは、聞きなれない言葉かもしれない。だが、この用語が指す概念はそんなに馴染みのないものではないはずで、具体例を聞くと「あ、それ、興味あるかも」と思ってくれる人も多いのではないかと思う。

 例えば、日本語では、同じ意味内容ではあるが「彼は行きませんでしたね」とも「彼は行かなかったですね」とも言える。他にも、「起きられる?」という表現は「起きれる?」とも言える。英語の例を出すと、He helped John do his homework.という文はHe helped John to do his homework.とも言えるし、We won't answer the question that you raised.という文は、We won't answer the question     you raised.とも言える。または、I submit myself to a judgment about which I can not but be anxiousという文は、I submit myself to a judgment which I can not but be anxious about. とも言える。このように、どこか何か微妙にニュアンスは違うものの、全体としては、同じ意味を表していると思われる異なる言い回し(選択肢)を言語学では変異(variant)と言う。

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 このような選択肢が競合するときに、人間はどちらを選ぶのだろうか。

 学校や教育現場では、「Aしか使ってはいけない」のような「ルール」を習ったことがあるかもしれない(例:「ら抜き言葉は使ってはいけない」のように)。だが、人間は習ったルール通りに行動をするわけではない(例:使うなと言われても、みんな「ら抜き言葉」は使っている)。言語表現とは自然と口をついて出てしまうものだからだ。そして、みんなが使っていくと、いつの間にか、それが「普通」になる。

 言語学者が興味を持つのは、習ったルールの方ではなく、人間がどういうふうに使っているのかという使用実態の方だ。この使用実態は、しかし、なかなかデリケートなものである。​絶対にこうだ、というような強い一般化ができないからだ。同じ人間でも、時にはAを用いて、また別の時にはBを使うということもある以上、絶対的な断定はできないのである。だが、とはいえ、完全に無秩序か、というとそういうわけでもない。確率的な傾向というものが、なにか存在するに違いない。どんな要因が存在するときに、Aを使う(または、Aを避ける)傾向が強まるのか、それを探りたい。

 そして、この変異の分析と密接に関係する問題が、歴史変化である。ある時代までは、Aが使われていたのに、ある一定期間、AとBが共存し、その後、Bが使われるようになる、というように、言語変化は言語変異の選択傾向の変化として捉えられるからだ。

 

 そこで、この学期には、輪読と実践を織り交ぜながら、変異と変化の分析の研究の一端に触れていきたい。

■スケジュール:本年度は、この研究会が初めて組織される年になるので、学生の力や要望を踏まえ、多少大幅にスケジュールが変更される可能性があることを承知されたい。

Part I: Preliminaries

Class 1: ガイダンス(中納言の登録

4月11日(金)5限

  • 活動1:1章

  • 活動2:自己紹介(各学生の興味の紹介)
     

  • 課題1:興味のある対象の発見
    言語の変化、変異の事例として、自分が興味を持つ対象を見つけなさい。Google Scholarを使って、大まかな調査を添えなさい。

     

Class 2: 方法論1 (コーパス)

4月18日(金)5限

  • 活動1:2章

  • 活動2:グループ決め
     

  • 課題2:コーパス検索体験
    次回の授業までに、以下の2つのいずれかを調べて、調査報告をまとめなさい。①その表現の出現頻度が、コーパス上どのように変化したのか、または、②2つの表現の割合がどのように変化したのか

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Class 3: 方法論2 (統計学① 重回帰分析)

4月25日(金)5限

  • 活動1:3.1から3.2まで

  • 活動2:先行研究のリストの作成①
     

  • 課題3a:練習

  • リンク先にあるテストデータをダウンロードして、分析を実行し、わかったことをまとめなさい。

  • 課題3b:コーパス分析体験
    課題2とは異なる対象で、調査をしなさい。
     

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Class 4: 方法論2 (統計学② 一般化線形モデル)

5月2日(金)5限

活動1:3.3から3.4まで

活動2:先行研究のリストの作成②

課題4:課題2または3bで扱った現象をロジスティク回帰またはポワソン回帰で分析し、結果を報告しなさい

Part II: Cognitive Linguistics

Class 5: 認知言語学

5月9日(金)5限

  • 活動1:4.1から4.2まで

    • 尾谷 昌則・二枝 美津子(2011)『構文ネットワークと文法 ―認知文法論のアプローチ』東京:研究社.

  • 活動2:先行研究購読①

Class 6: 認知言語学と言語変異・変化

5月16日(金)5限

活動1:4.3から4.4まで

活動2:先行研究購読②

Class 7: ゼロ形態(DM)

5月23日(金)5限

活動1:5.1から5.3まで

活動2:先行研究購読③

Class 8: ゼロ形態(PFM)

5月30日(金)5限

活動1:5.4から5.5まで

活動2:先行研究購読④

Class 9: 虚形態(DM)

6月13日(金)5限

活動1:6.1から6.3まで

活動2:分析①

Class 10: 虚形態(PFM)

6月20日(金)5限

活動1:6.4から6.5まで

活動2:分析②

Class 11: 阻止(DM)

6月27日(金)5限

活動1:7.1から7.3まで

活動2:分析③

Class 12: 阻止(PFM)

7月4日(金)5限

活動1:7.4から7.5まで

活動2:分析④

Class 13: 迂言法(DM)

7月11日(金)5限

活動1:8.1から8.3まで

活動2:発表レジュメ作成①

Class 14: 迂言法(PFM)

7月18日(金)5限

活動1:8.4から8.5まで

活動2:発表レジュメ作成

Class 15: 研究成果の報告会

(実施日は学生との相談の上で決定する)

活動1:8.4から8.5まで

活動2:発表

■評価方法:上述の活動報告書の質、および、研究会における意欲・積極性・協調性などを基に総合的に判断する。

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